モリサワ東京本社で開催されたセミナーのレポートです。セミナーの前日はこの秋にリリースされるモリサワの2019年度の新書体が発表されたばかりでした。最新情報とともにモリサワの新フォントについてレポートします。
『MORISAWA FAIR 2019』
開催概要
日 時:2019年6月25日(火)26日(水)
会 場:株式会社モリサワ東京本社(東京都新宿区下宮比町2-27)9Fセミナールーム
セミナー:『広がるフォントラインナップ〜モリサワ新書体のご紹介〜』
講師:株式会社モリサワ東京本社 フォントデザイン部 デザイン企画課 江間 祥子さん
MORISAWA FAIRとは
フォントメーカーのモリサワの本社で行われるフォントや印刷に関するセミナーと展示会です。事前申し込み制で無料のセミナーです。
モリサワ2019年新書体が発表されました
2019年6月25日に発表されたばかりのモリサワの新書体10書体について、フォントデザイナーの方からプレゼンがありました。この秋のリリースが今から楽しみになる新フォントのラインナップでしたのでまとめます。
何か作りたくなる新書体ばかり
サンプル書体を見ていたら、依頼されていない架空の案件でもサンプル作品でも何でもいいので早く新書体を使いたくなりました。(笑)そのくらいインスピレーションをくすぐる書体でした。
ここ数年のフォントの流れとしては、書体のUD(ユニバーサルデザイン)化と国際化があると思います。看板等の表記が多言語化する中でデザイナーにとって使いやすいフォントが用意されています。
オリンピックも間近ですし、飲食店のメニューなどを多言語化する流れもありますよね。
見出しに効くデザインフォントがさらに充実
和風のデザインのタイトルや商品名に使うフォントで悩んだこと、デザイナーの方ならかなりあると思います。
モリサワのフォントは近年実務で使えるデザインフォントの充実に力を入れていますよね。本文の文字組はベーシックな書体の方が読みやすいですが、ここぞというポイントには使いたいインパクトのあるデザイン書体。
モリサワのフォントは市場のニーズに沿った開発を行っているので、痒いところに手が届く、まさにそんな感じの今年の新作デザインフォントの発表会でした。
骨太で力強い剣閃
「剣閃(けんせん)」は見出し用に作成された骨太の力強いフォントです。
インパクトがありつつも品のある筆文字系フォント。キリッとして凛々しい感じもあります。
このフォントを使うならどんなところがいいかな。辛口の日本酒のロゴとかにいいかもしれませんね。
「小琴 京かな」と「小琴 遊かな」
姉妹のようなフォント。はんなり脱力系のやさしい和文書体です。軽やかでいいですよね。
力の抜けたやさしい風合いの筆書系デザイン書体です。
モダンな和菓子のパッケージで使ってみたくなるフォント。女子旅のパンフレットにもいいかもね。
活版の味わいがあるアナログ感ある「秀英にじみ角ゴシック金と銀」
活版印刷のインクのにじみを再現した「秀英にじみ角ゴシック金」「秀英にじみ角ゴシック銀」。これいいですよ。活版特有のインクのにじみから来るエッジの甘さが再現されているんです。
こういう風合いを出したくて普通のフォントを気合いで加工していた時代よさようなら。
しみじみした味わいを感じます。このフォントでグッとくるキャッチコピーなんか組んだ日には読むだけで泣くかも。
デジタルだけどアナログ感を求めているというのも最近の流れかと思います。
コミックやゲーム系のタイトルまわりにおすすめな「赤のアリス」
デザイン書体「赤のアリス」はレトロモダンな印象のコクのあるデザイン。一度見たら忘れられない個性的なフォントです。フォント名も尖っていますね。
使いどころは限定される代わりに、ピタッとハマるとこの上ない感じ。
コミックやゲームなど遊び心のある場面で重宝されそうなフォントですね。
UD系のフォントは4種類
UD(ユニバーサルデザイン)フォントが4種類リリースされます。UDフォントとは、読みやすく、文字の形がわかりやすく、読み間違えにくいことを目標に開発されているフォントです。
視認性だけでなくデザイン性損なわれていないので、公共性の高いものには積極的に活用されています。
また、多言語フォントと言って、様々な言語に対応出来るグローバル化される社会を反映したフォントのラインナップも注目です。
モリサワの2019年 新書体ラインナップ一覧
- 剣閃(けんせん)
- 小琴 京かな(こきん きょうかな)
- 小琴 遊かな(こきん ゆうかな)
- 秀英にじみゴシック金
- 秀英にじみゴシック銀
- 赤のアリス
- UD新ゴ(AP版)
- UD新ゴNT(AP版)
- UD黎ミン 簡体字
- UD黎ミン 繁体字
待望の新フォントのリリースは秋
待ち遠しい新フォントのリリースはこの秋になります。各書体の詳細やリリース日は新書体特設ページで随時案内されるということなので、要チェックです。
モリサワのフォントを使った令和をはじめとする元号で構成されたデザインのクリアファイルをオンデマンド印刷のサンプルでいただきました。ちょっと嬉しかったのでおまけのご紹介。
モリサワの2019年新書体の特設サイトはこちらです。